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身の回りにある「もの」の思い出を語り、写真と文で綴る「ものとかたり」シリーズ。そのテスト版として制作した0号。
亡くなった父と母が遺したものを、晩年を共に過ごした長女が語る一冊。
書名:ものとかたり0号 長崎の父と母が遺したもの
企画・発行:ロジノーク(私家版)
ページ数:52ページ / 判型:A5判 変 (148mm x 188mm)
定価:1,000円(税込)
■本文より
息子が、祖母の遺品を撮ろう、と言ってきた。遺品を見ながら思い出を聞きたいらしい。
人生のほとんどを長崎で過ごしてきた父と母を、鎌倉の家に呼び寄せたのは十数年前のこと。大正二年生まれの父と、大正十二年生まれの母にとっては、大きな決断だったはずだ。長崎の家を引き払い、本当に必要なものだけをもっての引越しだった。
四十年以上も離れて住んでいた両親と暮らすのは、簡単なことではなかった。ましてや、自立した生活が難しくなってからの同居だ。子供のころには知らなかった両親の素顔や、ライフスタイルの違いには随分と戸惑い苦労した。受け入れてくれた夫には、感謝している。
十年前に父を、二年前に母を送ってから、遺品をしみじみ振り返る時間はなかったような気もする。息子とゆっくり話すこともあまりないので、どんな時間になるのだろう。楽しみだ。